閉店の告知と挨拶
閉店の告知はいつ・誰から?伝える順番と時期の目安、挨拶文の例文
閉店の告知は、お客様へは閉店日の1〜2ヶ月前から始めるのが目安です。伝える順番は、スタッフ→取引先・大家→常連様・お客様→SNS。身近な人から先に伝え、誰でも見られる場所には最後に出します。
先に結論
- お客様への告知は閉店の1〜2ヶ月前が目安です。取引先へは2ヶ月前に一報を入れ、挨拶状は閉店の1ヶ月前までに届くように送ります。
- 従業員がいる店は、最初に伝える相手はスタッフです。解雇の予告は、法律で30日以上前と決まっています(労働基準法20条)。
- SNSは公開情報になる前提で最後に出します。閉店日、回数券やポイントの使える期限、閉店後の連絡先を決めてから投稿します。
閉店を伝える順番は「スタッフ→取引先・大家→お客様→SNS」
閉店は、店に近い人から順に伝えます。公開した時点で誰に届くか分からないSNSは、必ず最後です。
順番が逆になると、スタッフや取引先が、お客様の会話やSNSで閉店を知ることになります。本人から聞くはずだった話を、店の外から聞かされる形です。この行き違いを防ぐのが、順番を決める目的です。
4つの段階と、その順番にする理由は次のとおりです。
- スタッフ:働く人の生活に直結します。法律で決まった予告の期限もあります。
- 取引先・大家:最終発注日や解約の期限など、実務の調整が要る相手です。
- 常連様・お客様:常連様には個別に伝え、そのあと店頭の貼り紙で広く伝えます。
- SNS・Webサイト:投稿は消しても、画面の保存(スクリーンショット)で残ることがあります。
例外は大家です。店舗の解約予告は契約書で期限が決まるため、スタッフより先に連絡が必要になる場合があります。扱い方は取引先・大家の項で説明します。閉店までの段取り全体は、閉店までにやることリストに時期ごとに整理しています。
相手別・伝える時期の目安と手段の一覧
お客様への告知は閉店の1〜2ヶ月前、その前にスタッフと取引先へ伝え終えるのが目安です。表のうち法律で期限が決まっているのはスタッフへの解雇予告で、大家は契約書、ほかは慣行としての目安です。
| 相手 | 伝える時期の目安 | 手段 | ポイント |
|---|---|---|---|
| スタッフ | 閉店の2〜3ヶ月前 (解雇予告は法律で30日以上前) | 全員に口頭で。日付を書いた書面も渡す | お客様・取引先より先に。公表日まで口外しないよう頼む |
| 大家・管理会社 | 契約書の解約予告期限まで | 契約書に定められた方法(書面など) | 期限が早い場合はスタッフより先になる。公表前であることを伝える |
| 取引先・仕入先 | 閉店の2ヶ月前 | 電話かメールで一報。挨拶状は閉店1ヶ月前までに届くように | 最終発注日・最終納品日・支払いの予定を添える |
| 常連様 | 閉店の1〜2ヶ月前 (貼り紙より先か同じ日) | 口頭・手紙・LINEなどで個別に | 店頭の貼り紙で知る前に、店主から伝える |
| 一般のお客様 | 閉店の1〜2ヶ月前 | 店頭の貼り紙・店内の掲示 | 閉店日・最終営業時間・回数券やポイントの期限を書く |
| SNS・Webサイト・予約サイト | 貼り紙と同じ日か、その後 | SNS投稿・自店サイト・予約サイトの営業情報 | 公開情報になる前提で最後に。閉店後の連絡先を載せる |
告知から閉店までが短いほど、常連様が最後に来られる日も、回数券やポイントを使い切る時間も短くなります。1〜2ヶ月という目安は、この時間を確保するための幅です。
一方で、閉店日が確定する前にお客様へ告知するのは控えます。日付が動くと、告知をやり直すことになるからです。
スタッフには最初に伝える。法律の期限は「30日前の予告」
従業員がいる店は、スタッフに最初に伝えます。解雇の予告は少なくとも30日前で、予告をしない場合は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払います。
労働基準法20条は、使用者が労働者を解雇するとき、少なくとも30日前に予告するよう定めています。予告の日数は、平均賃金を1日分払うごとに1日短くできます。たとえば20日前に予告する場合は、10日分以上の平均賃金を支払います。
ここでいう「労働者」は、職業の種類を問わず、事業に使用され賃金を支払われる者です(同法9条)。例外は21条にあります。日日雇い入れる人、2ヶ月以内の期間を定めて雇う人、季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇う人、試用期間中の人です。ただし、それぞれ1ヶ月・所定の期間・14日を超えて続けて雇っている場合は、予告が必要です。
30日は「これより遅れてはいけない」最低ラインです。伝える時期の目安は、閉店の2〜3ヶ月前です。スタッフが次の仕事を探す時間と、ハローワークの手続きを準備する時間を取れます。
伝える前に、次の4点を決めておきます。
- 閉店日と、一人ひとりの最終勤務日
- 最後の給料の締め日と支払日
- 離職票・源泉徴収票など、退職後に渡す書類の時期
- お客様と取引先に公表する日(その日までは口外しないでほしいこと)
伝える日は全員同じ日にそろえます。口頭で伝えたあと、予告した日と解雇日を書いた書面も渡すと、言った・言わないの行き違いを防げます。閉店後の雇用保険・社会保険の届出と期限は、閉店までにやることリストに一覧があります。
専門家に確認すること
有期契約の途中での終了、退職金の扱いなど、個別の労務の判断は社会保険労務士または労働基準監督署に確認します。店じまい計画室は、段取りの整理に徹します。
取引先・大家への連絡は、契約と取引条件から時期を決める
大家への連絡時期は契約書の解約予告期限で決まり、取引先へは閉店の2ヶ月前が目安です。どちらも挨拶より先に、期限と支払いの話を具体的に伝えます。
大家・管理会社
店舗の解約予告の期限は、法律ではなく賃貸借契約書の条項で決まります。「3ヶ月前」「6ヶ月前」などの定めがあれば、その日が連絡の最終期限です。解約の通知は、契約書に定められた方法(書面など)で行います。
この期限がスタッフに伝える日より早い場合は、大家への通知が先になります。そのときは管理会社に「従業員とお客様にはまだ伝えていない」と一言添えます。
取引先・仕入先
取引先には、閉店の2ヶ月前を目安に電話かメールで一報を入れます。最終発注日は、相手の在庫や配送の都合も関わるため、早めに相談します。メールには次の5点を入れると、一度のやりとりで話が進みます。
- 閉店日
- 最終発注日と最終納品日の希望
- 残りの支払いの予定(締め日・支払日)
- 発注済みの品や返品の相談
- 閉店後の連絡先
件名は「閉店のご報告と最終納品日のご相談(店名)」のように、用件が一目で分かる形にします。長年の取引先には、メールとは別に書面の挨拶状を送り、閉店の1ヶ月前までに届くようにします。
取引先への連絡と並行して、業種ごとの届出も準備します。飲食店は飲食店の閉店手続き、美容室は美容室の閉店手続きに、提出先と期限をまとめています。
お客様への閉店の挨拶:貼り紙・常連様・SNSの例文
お客様向けの挨拶文に入れるのは、閉店日・感謝・最終日までの営業案内・回数券などの期限・閉店後の連絡先の5つです。閉店の理由は、書かなくても告知として成り立ちます。
出す順番は、常連様への個別の連絡、店頭の貼り紙(張り紙)、SNSの順です。以下の例文は、( )の部分を店に合わせて書き換えて使えます。
例文1:店頭の貼り紙
入口やレジの近くなど、来店した人が必ず目にする場所に貼ります。閉店日は本文より大きな字で書くと、通りがかりの人にも伝わります。
例文2:常連様への個別の連絡(手紙・LINE)
貼り紙を出す前か同じ日に、顔と名前が分かる常連様へ個別に伝えます。店頭で初めて知るのではなく、店主から直接聞けるようにするための連絡です。
例文3:SNS・Webサイト
SNSは、貼り紙と同じ日か、その後に投稿します。店の外に広がる前提で、問い合わせ先と各種の期限を決めてから出します。自店のWebサイトや予約サイトの営業情報も、同じ日にそろえて更新します。
ここに載せていない文例は、店じまい完全キットに12種まとめています。取引先への挨拶状、スタッフへの話し方の台本、閉店当日の投稿、閉店後の問い合わせへの返信などです。穴埋め式で、契約の棚卸しシートも付いています。
回数券・ポイント・閉店セールは告知の中で決着をつける
代金を先にいただいている回数券・前売り券や、ポイントは、告知の中で「いつまで使えるか」「使い切れない分をどうするか」を必ず書きます。閉店セールは、閉店日が決まってから行います。
回数券・商品券・前売り券
回数券や商品券のように、代金を先に受け取って発行する券は、資金決済法の「前払式支払手段」の定義に当てはまります(3条1項)。ただし、発行の日から6ヶ月以内に限り使えるものは、同法の規定の対象外です(4条2号・施行令4条2項)。映画・演劇・音楽などを不特定多数に見せたり聴かせたりする場所の入場券も、対象外です(4条1号・施行令4条1項2号)。
自分の店でだけ使える券(自家型)には、届出の基準があります。基準日(毎年3月31日と9月30日)の未使用残高が1,000万円を超えると、届出が必要です(3条2項・5条1項・14条1項・施行令6条)。届出をした発行者が発行の業務をやめるときは、保有者への払戻しが義務です(事業を引き継ぐ人がいる場合を除く)。60日以上の申出期間を定めて、公告などを行います(20条1項・2項)。
払戻しを義務づけられているのは、届出をした自家型発行者と、登録を受けた第三者型発行者です(2条1項・3条6項・7項)。対象外の店でも、券を持つお客様はすでに代金を払っています。告知の最初の段階から、券を使える最終日と、使い切れなかった分の扱い(払い戻しの方法と受付期限)を書きます。
ポイント・ボトルキープ・予約
ポイントカードを出している店は、ポイントを使える最終日を決めて告知に書きます。利用条件を定めた規約があれば、閉店時の扱いが書かれていないか先に確認します。ボトルキープや預かり品は引き取りの期限を、予約は受け付ける最終日を、同じ告知の中で案内します。
「閉店セール」の表示
景品表示法は、価格などの取引条件を実際よりも著しく有利だと一般消費者に誤認される表示を禁じています(5条2号)。消費者庁は、閉店の予定がない、または時期が確定していないのに「閉店セール」を長期間続ける例を挙げています。こうした表示は、不当表示に該当するおそれがあるとしています(表示に関するQ&A Q44)。閉店セールは、閉店日を確定させてから、閉店日までの期間で行います。
「通常価格〇円→〇円」のように過去の価格と並べる表示にも、目安があります。消費者庁の考え方では、比べる価格は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」が基本です。目安は、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、過半の期間その価格で販売していたことです。ただし、その価格での販売が通算2週間未満の場合や、最後に販売した日から2週間以上たっている場合は当たりません。当たらない価格と比べるときは、いつ・どのくらいの期間販売していた価格かを正確に表示しないと、不当表示に該当するおそれがあります。
よくある質問
閉店の告知について、店主から出やすい質問をまとめました。
閉店の告知はいつから始めればいいですか?
お客様への告知は、閉店日の1〜2ヶ月前からが目安です。その前に、スタッフ(閉店の2〜3ヶ月前が目安。解雇予告は法律で30日以上前)と、取引先(2ヶ月前が目安)へ伝え終えておきます。
閉店日がまだ確定していなくても、お客様に告知していいですか?
お客様への告知は、閉店日が確定してから出します。日付が変わると、お客様の予定や回数券の利用にも響きます。また消費者庁は、閉店の時期が確定していないのに「閉店セール」を長期間行うと、不当表示に該当するおそれがあると示しています。
閉店の理由は告知文に書くべきですか?
理由は書かなくても告知として成り立ちます。閉店日・感謝・最終日までの営業案内・回数券などの期限・閉店後の連絡先がそろっていれば足ります。書く場合は一文にとどめます。
アルバイトやパートにも30日前の解雇予告が必要ですか?
原則として必要です。労働基準法の「労働者」は、職業の種類を問わず、事業に使用され賃金を支払われる者です(9条)。例外は、日日雇い入れる人、2ヶ月以内の期間を定めて雇う人、試用期間中の人などです。一定の期間を超えて続けて雇っている場合は、この人たちにも予告が必要です(21条)。
取引先への閉店の挨拶はメールだけでいいですか?
最終発注日や支払いなどの実務連絡は、メールで足ります。長年の取引先には、メールとは別に書面の挨拶状を送ります。挨拶状は、閉店の1ヶ月前までに届くように出します。
まとめ
閉店の告知は、閉店日を確定させてから、スタッフ→取引先・大家→常連様・お客様→SNSの順に進めます。お客様へは1〜2ヶ月前、スタッフへの解雇予告は30日以上前です。
回数券やポイントの期限と閉店後の連絡先は、最初の告知から書き込みます。告知が済んだら、次は届出の準備です。個人事業主の廃業届は、2026年から期限が変わりました。
あなたの店の工程表を、1分でつくる
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- e-Gov法令検索「労働基準法」(第9条・第20条・第21条)
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」(第2条・第3条・第4条・第5条・第14条・第20条)
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律施行令」(第4条・第6条)
- 金融庁「前払式支払手段について」
- 消費者庁「表示に関するQ&A」(Q44 長期間にわたる「閉店セール」の実施について)
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(第4の2(1)ア)
- e-Gov法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」(第5条)
告知の時期(スタッフ2〜3ヶ月前・取引先2ヶ月前・お客様1〜2ヶ月前など)は法律ではなく、段取りの目安です。本ページは一般的な手続きの情報提供であり、法的・税務的助言ではありません。期限や要否は個別の状況・自治体・契約内容で異なります。個別の判断は税理士・社会保険労務士・司法書士等の専門家、または各窓口にご確認ください。